路線価の基礎知識と不動産情報ライブラリの活用方法

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1.はじめに:広島駅周辺の路線価が急上昇!

 先日、国税庁から2026年分の路線価が発表されました。

 全国平均が5年連続で上昇し、プラス2.9%となりました。

 私たちの身近なところでも、中国地方5県の標準宅地の平均変動率が前年比1.6%の上昇となり、5年連続のプラスを記録しています。


 中でも、広島市南区京橋町の駅前通り沿いは1平方メートルあたり169万円となり、前年から22.5%もの大幅な上昇を記録しました。

 広島国税局管内の中国地方50税務署の最高路線価の中でも、5年連続で最も高い上昇率となりました。

 昨年8月に開業した広島電鉄の新線「駅前大橋ルート」による交通利便性の向上に加え、今年3月に開業した広島駅ビルの商業施設「ミナモア」、駅前の再開発による商業集積の進展が背景にあります。


2.土地の価格は1つじゃない?「一物五価」の基礎知識

 このようにニュースで「路線価」という言葉をよく耳にしますが、実は土地の公的な価格には路線価のほか、公示地価や基準地価、固定資産税評価額があります。

 これらに実勢価格を加えた複数の価格が存在することから、不動産業界では「一物四価」あるいは「一物五価」などと呼ばれています。


  1. 公示地価(地価公示価格)
    国土交通省の土地鑑定委員会が定期的に公表する土地の公的な価格の一つです。
  2. 基準地価(都道府県地価調査価格)
    都道府県が公表する価格で、こちらも土地の公的な価格の一つとして扱われます。
  3. 路線価(相続税路線価)
    国税庁が原則として毎年1月1日時点の土地の価格を判定し、7月上旬に公表する価格です。相続税や贈与税の算定基準として使われるため「相続税評価額」とも呼ばれます。
  4. 固定資産税評価額
    固定資産課税台帳に記載された土地や家屋などの固定資産の評価額で、固定資産税課税の基礎となる価格です。
  5. 実勢価格(時価)
    上記の公的価格に対し、実際に不動産市場で売手と買手が双納得して合意した客観的な交換価値を「実勢価格(時価)」と呼びます。おおむね公示地価の100%〜110%程度になることが多いとされています。

3.「実勢価格」はどのように査定される?

 実際に家や土地を売却しようとしたとき、不動産業者はどのように実勢価格を査定するのでしょうか。


 マイホームや土地の価格査定においては、主に「取引事例比較法」という手法が用いられます。これは、対象の不動産と似たような条件の過去の取引事例を多数集めて比較し、価格を導き出す方法です。

 しかし、不動産は一つとして同じものがなく、個別性が極めて高い資産です。そのため、過去の取引事例の価格をそのまま当てはめることはできず、売り急ぎなどの「事情補正」、過去の取引からの地価変動を修正する「時点修正」、駅からの距離や土地の形状・接道状況などを比較する「地域要因・個別的要因の比較」といった調整を行って価格を算出します。


4.広島県の不動産のプロが使う「Heiwa情報システム」

 実勢価格を正確に把握するためには「過去の実際の取引事例」を知ることが不可欠です。


 広島市やその近郊の不動産業者は、「Heiwa情報システム」という不動産会社の営業支援を目的とした会員制不動産情報閲覧システムを用いて売買事例の価格を調査していることが多いです。

 当システムには、販売中約7,000件の物件情報に加え、過去24年間にわたる約168,000件(令和5年11月末現在)もの膨大な取引事例が蓄積されています。ただし、個人の方が直接会員になることはできません。


5.一般の方必見!相場を知るなら「不動産情報ライブラリ」

 一般の人が過去の取引事例を調べるには、国土交通省が公開している「不動産情報ライブラリ」が便利です。

 パソコンやスマートフォンから利用でき、過去に行われた不動産の取引価格情報(不動産取引価格情報や成約価格情報)を地図上で確認することができます。


  1. 「不動産情報ライブラリ」にアクセスし、調べたい地域を地図に表示します。
  2. 価格情報のメニューから「不動産取引価格情報」や「成約価格情報」にチェックを入れます。
  3. 物件の種類(中古マンション等、土地など)や時期を指定して決定すると、地図上にアイコン(青い丸など)が表示されます。
  4. アイコンをクリックすると、その周辺で実際に取引された中古マンションなどの取引総額や間取りなどのデータを見ることができます。

このサイトでは相続税の計算に使う「路線価」は調べられないため、路線価を知りたい場合は国税庁が公開している「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を利用してください。


6.自分でできる!路線価図の見方と相続税の判断基準

 それでは、路線価図の見方を簡単にご説明します。


 地図上の道路には「440C」や「600C」といった数字とアルファベットが書かれています。

 数字は1平方メートルあたりの価格を千円単位で表したもので、「440」の場合は「1平方メートルあたり44万円」を意味します。後ろのアルファベットは借地権割合を示しています。


 ご自身の土地が面している道路の路線価に、土地の面積を掛ければ、大まかな土地の評価額を概算することができます。


相続税がかかるかどうかを判断する「基礎控除」の計算式は以下の通りです。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
遺産の総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。


7.【重要】概算はあくまで「目安」。ギリギリの場合は必ず専門家へ!

 ここで強くお伝えしたいのは、先ほどの計算方法は、あくまで大まかな目安を出すためのものに過ぎないということです。


 実際の土地の相続税評価においては、間口が狭小な宅地の評価、奥行が長大な宅地の評価、不整形な宅地の評価など、土地の形状に応じた補正が行われます。

 また、角地の場合は側方路線影響加算率が適用されるなど、利用価値の高さに応じた加算補正も行われます。


 このように、実際の評価額は土地の個性によって大きく上下します。そのため、「基礎控除額にギリギリひっかかるかもしれない…」と不安になる場面では、自己判断をせず、必ず相続税に強い税理士に正確な金額を出してもらうことをお勧めします。


おわりに

 不動産と相続には、複雑なルールが多く存在します。遺産総額が基礎控除を超えそうな場合でも、ご自宅の土地については「小規模宅地等の特例」を活用できる可能性があります。


 さらに、現在は「相続登記の義務化」の制度も始まっています。


「相続登記の手続きをお願いしたい」「遺産分割協議書の作成をサポートしてほしい」、あるいは「相続税に強い税理士を紹介してほしい」といったお悩みがございましたら、ぜひお気軽に、相続を専門とする司法書士・行政書士 津田リーガルオフィスまでご相談ください。

 他士業とも連携し、皆様の状況に応じた最適なサポートをさせていただきます。