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遺言作成

そもそも遺言とは?
~想いを「法的効力」のある形に残し、愛する家族を守る~ 

遺言とは、ご自身の死後、大切な財産を「誰に・どれだけ」託すかを指定する法的な意思表示です。単なる手紙とは異なり、民法で定められた厳格な方式に従って作成することで、初めて法的な効力を持ちます。
最大のメリットは、「遺産分割協議(相続人全員の話し合い)」を経ずに財産を承継できる点にあります。これにより、残されたご家族が遺産を巡って争う「争族」を未然に防ぎ、スムーズな手続きを実現します。
相続においては「法定相続(民法の規定)」よりも「遺言の内容」が優先されます。遺言があれば、法定相続分と異なる配分や、血縁関係のない方への遺贈、寄付なども可能になります。

遺言書から遺言執行までの流れ                       

1.遺言の内容を決定する
~「想い」を法的に有効な「形」にするために。まずは現状分析~

遺言書を作成する第一歩は、ご自身の財産状況を正確に把握し、「誰に・どの財産を・どれだけ」託したいかという構想を固めることです。当事務所では、お客様の想いを尊重しつつ、法的なリスク(遺留分侵害など)を回避した最適なプランをご提案します。

メリットデメリット

公正証書遺言
・公証人が作成するので証拠能力が高い
・公証役場に出向かなくても、公証人が出張して作成してくれる
・家庭裁判所での検認手続が不要
・死後すぐに遺言の内容を実行できる
・公証役場で原本を保管するので、紛失・変造の心配がない
・全国の公証役場から遺言書を探すことができる
・手続きに時間がかかる
・財産額に応じた手数料がかかる
・証人の手配が必要
自筆証書遺言
(自宅で保管)
・手軽でいつでもどこでも書ける
・費用がかからない
・誰にも知られずに作成できる
・本文をすべて自書しなければならない
・不明確な内容になることがある
・紛失や偽造・変造、隠匿のおそれがある
・死後に家庭裁判所での検認手続が必要になる
自筆証書遺言
(法務局保管)
※新しい選択肢
・法務局で画像データを保管するので、紛失・変造の心配がない
・全国の法務局から遺言書を探すことができる
・家庭裁判所での検認手続が不要
・死後すぐに遺言の内容を実行できる
・費用が低廉
・自分が死亡した時に、指定する人に通知することができる
・法務局は「内容の法的な有効性」まではチェックしてくれない
・保管申請書の作成が面倒
・法務局に出向いて手続きする必要がある

遺言の種類を選択する
~「確実性」と「死後の手続き」を考慮し、最適な方式を決定します~

遺言の内容が決まったら、それをどのような形式で作るかを選択します。主な方式として「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がありますが、現在は法務局による保管制度の導入により、選択肢が広がっています。 当事務所では、紛失や改ざんのおそれがなく、死後の手続きがスムーズな①または②の方法を推奨しています。

① 公正証書遺言(最も確実・安心)
公証役場で、証人2名の立ち会いのもと、公証人が作成する遺言です。
法律の専門家である公証人が作成するため、方式不備で無効になるリスクがほぼありません。原本が公証役場に厳重に保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。
家庭裁判所での「検認」手続きが不要なため、すぐに預貯金の解約や不動産の名義変更(相続登記)に使用できます。

② 自筆証書遺言(法務局保管制度を利用)
ご自身で作成した遺言書を、法務局(遺言書保管所)に預ける新しい制度です。
公正証書に比べて費用が安く済みます。法務局が形式(日付や署名など)のチェックを行うため、形式不備のリスクが軽減され、紛失も防げます。
この制度を利用した場合、家庭裁判所での「検認」手続きが不要となります。
法務局は「内容の法的な有効性」までは審査しません。内容に不備がないよう、専門家のアドバイスを受けながら作成することをお勧めします。

③ 自筆証書遺言(自宅で保管)
紙とペンと印鑑があれば費用をかけずに作成できますが、形式の不備で無効になりやすく、紛失や発見されないリスクがあります。開封前に必ず家庭裁判所での「検認」が必要となり、完了までに1ヶ月以上かかることもあるため、ご家族に負担がかかります。当事務所では推奨しておりません。

3.遺言書の作成・手続き 
   ~「無効」にならないためのプロのサポート。面倒な手続きや証人の手配もお任せください~

決定した方針に基づき、法的に有効な遺言書の作成をサポートします。 ご自身の想いを綴る「付言事項」の添削から、公証役場や法務局との細かな調整まで、当事務所が全面的にバックアップいたします。

遺言書「文案」の作成とリーガルチェック
お客様の想いを法的な言葉に変換し、曖昧な表現によるトラブルを防ぐための文案を作成します。法的な効力はありませんが、家族への感謝や遺言の意図を伝える「付言事項」についても、想いが伝わるようアドバイスいたします。

②【公正証書遺言】を作成する場合のフルサポート
・公証人との打ち合わせ:複雑な法的手続きや書類のやり取りは、司法書士が公証人と直接行います。お客様は作成当日に公証役場へ行くだけで済みます。
・証人の手配:作成当日に立ち会う2名の「証人」が必要です。親族は証人になれませんが、当事務所で証人を手配可能ですので、知人に内容を知られる心配がありません。

③【自筆証書遺言(法務局保管)】を選択する場合の支援
法務局の保管制度を利用するには、指定された様式(余白の規定など)を厳守する必要があります。不備がないよう事前にチェックし、申請書の作成を支援します。
予約・同行:法務局への予約手配や、必要に応じて申請時の同行サポートも行います(申請はご本人の出頭が必須です)。

④「遺言執行者」への就任
遺言書の中で、当事務所の司法書士を「遺言執行者」に指定していただくことが可能です。遺言執行者を指定しておけば、ご逝去後、相続人の代理人として司法書士が預貯金の解約や不動産の名義変更を単独で行えるため、ご家族の手続き負担が劇的に軽減されます。

4. 遺言書の保管・管理
~「作ったこと」を無駄にしないために。紛失や隠匿を防ぐ厳重な保管を~

遺言書作成で最も重要なのは、「ご自身の死後、確実に発見され、内容が実行されること」です。 誰にも見つけられなかったり、発見者に破棄されたりしては意味がありません。当事務所では、安全性と確実性を最優先した保管方法を推奨しています。

①【公正証書遺言】の場合:公証役場での原本保管
原本は公証役場にて、厳重に保管されます(作成から140年(または遺言者の生存期間170年)。
また、ご本人には「正本」と「謄本」が渡されます。万が一、ご本人が手元の謄本を紛失しても、公証役場で再発行が可能なため、紛失・改ざんのリスクはゼロです。

②【自筆証書遺言】の場合:法務局の保管制度を利用
作成した自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に預けることができます。原本が法務局で管理されるため、紛失や相続人による廃棄・改ざんを防止できます。
死亡時の通知機能: この制度を利用する場合、あらかじめ指定した人(推定相続人や遺言執行者など1名)に対し、ご本人の死後に「遺言書が保管されていること」を通知する仕組みを利用でき、発見されないリスクを防げます。

③ 自宅で保管する場合のリスク管理
自宅の金庫や仏壇で保管する場合は、紛失や盗難、発見されないリスクが残ります。また、死後に発見された遺言書は、家庭裁判所での「検認」手続き(開封の儀式)を経なければならず、すぐに手続きに使えないというデメリットがあります。

④「遺言執行者」への託付
当事務所を遺言執行者に指定された場合、遺言書の写し(または正本)をお預かりし、ご逝去の連絡を受け次第、迅速に手続きを開始できる体制を整えます。

5. 遺言書の変更・撤回
~事情が変われば、いつでも「書き直し」が可能。最新の想いを優先します~

遺言書は、一度作成したら二度と変えられないものではありません。 ご家族の状況の変化、資産の変動、ご自身の心情の変化に合わせて、いつでも、何度でも、全部または一部を撤回・変更することが可能です(民法1022条)。 ただし、遺言の種類によって適切な変更方法が異なりますので注意が必要です。

① 最も確実な変更方法は「新しい遺言書」を作ること
以前の遺言書に加筆・訂正する方法は、方式不備で無効になるリスクが高いためお勧めしません。
「前の遺言と後の遺言が抵触するときは、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす」という法的ルールがあります(民法1023条)。つまり、日付の新しい遺言書を作成すれば、内容が重なる部分は自動的に新しい内容に上書きされます。

②【公正証書遺言】を変更する場合の注意点
公正証書遺言の原本は公証役場に保管されているため、お手元の謄本(写し)を破棄しても遺言を撤回したことにはなりません。
公正証書遺言の内容を取り消したい場合は、「公証役場で新しい遺言を作る」か「自筆証書遺言で『前の公正証書遺言を撤回する』旨を記載した遺言を作る」必要があります。

③【法務局保管の自筆証書遺言】を変更する場合
法務局に保管されている遺言書の保管を「撤回(返還請求)」することができますが、返還を受けただけでは遺言の効力は消滅しません(手元に戻るだけです)。
無効にするには、返還を受けた遺言書を破棄するか、新たに別の遺言書を作成して法務局に預け直す必要があります。

④ 生前に財産を処分した場合(法定撤回)
遺言書に「A土地とB建物を長男に相続させる」と書いていても、生前にそのA土地を売却したり、B建物を建て替えたりすることは自由です。遺言の内容と、生前の処分行為が矛盾する場合、その矛盾する部分については遺言を撤回したものとみなされます(民法1023条2項)。したがって、「遺言に書いたから売れない」ということはありません。

6. 遺言の実行(ご逝去後の手続き)
~「ゆくえ」を見届ける。遺言の内容を確実に実現するための最終工程~

遺言の効力は、遺言者(ご本人)が亡くなった時から生じます。しかし、遺言書があるだけでは自動的に名義が変わるわけではありません。預貯金の解約や不動産の名義変更といった具体的な「遺言執行手続き」が必要です。当事務所では、司法書士が「遺言執行者」として手続きを行うケースだけでなく、遺言執行者に指定されたご家族(相続人)をサポートするサービスも提供しています。

遺言書の確認と「検認」手続き
・公正証書遺言・法務局保管の自筆証書遺言の場合:家庭裁判所での検認手続きは不要です。すぐに開封し、手続きを開始できます。
・自宅保管の自筆証書遺言の場合:開封前に、家庭裁判所で「検認」(相続人全員に通知して遺言書の存在と状態を確認する手続き)を受ける必要があります。検認を経ずに開封すると過料の対象となるため注意が必要です。

②「遺言執行者」の業務開始(通知・財産目録の作成)
・就任通知:遺言執行者は、任務を開始したことを速やかに相続人全員に通知し、遺言書の内容を知らせる義務があります(民法1007条)。
・財産目録の作成:遅滞なく相続財産の目録を作成し、相続人に交付しなければなりません(民法1011条)。
・【ご家族が執行者の場合】: これらの法的な通知や目録作成は、不慣れな方には大きな負担です。当事務所が「遺言執行者の代理人(復代理人)」として、書類作成や発送業務を代行・サポートいたします。

具体的な遺言執行手続き(名義変更・引き渡し)
・預貯金の解約・払戻し:金融機関での解約手続きを行います。遺言執行者には単独での払戻し権限があります。
・相続登記:遺言に基づき、法務局で不動産の名義変更(相続登記・遺贈登記)を行います。特に「遺贈(相続人以外への譲渡)」の場合、遺言執行者がいることで手続きが円滑に進みます。
・【専門家への任せ方】:近年の民法改正により、遺言執行者は自己の責任で第三者(司法書士など)に任務を行わせることが認められやすくなりました(民法1016条)。ご家族が執行者の場合でも、複雑な手続きだけをプロに任せることが可能です。

よくある質問

料金表

家族信託

家族信託とは?
~「財産の名義」を信頼できる家族に移し、認知症による資産凍結や争族を防ぐ~ 

「家族信託」とは、ご自身の財産を信頼できる家族(子どもなど)に託し、特定の目的に従って管理・運用・処分を任せる仕組みのことです。 信託銀行などに依頼する「商事信託」とは異なり、営利を目的とせず、家族間で契約を結んで柔軟な財産管理を行うため、「民事信託」とも呼ばれます。
これまでの「遺言」や「成年後見制度」では対応しきれなかった、「認知症による資産凍結問題」や「数世代先までの資産承継」を解決する新しい手段として、近年急速に注目されています。

家族信託の基本的な仕組み

家族信託は、「委託者(いたくしゃ)」「受託者(じゅたくしゃ)」「受益者(じゅえきしゃ)」という3者の関係で成り立っています。 信頼できる家族に財産の管理を託し、その利益を受け取る仕組みです。
通常、家族信託を始める際は、「委託者=受益者」(親が委託者であり、かつ受益者)として設定します。

1. 家族信託の登場人物(3つの役割)

家族信託では、以下の3つの役割を家族や親族で分担します。

委託者
(財産を託す人)
もともとの財産の所有者です(例:親)。
自分の財産を信頼できる相手に託し、その管理・運用・処分の方法(信託の目的)を定めます。
受託者
(財産を託される人)
財産を託され、管理・運用・処分を行う人です(例:子)。
信託契約の定めに従い、受益者のために財産を管理する義務を負います。形式上の所有者(名義人)となりますが、自分の利益のために財産を使うことはできません。
受益者
(利益を受ける人)
信託された財産から生じる経済的な利益(家賃収入や生活費、不動産売却益など)を受け取る権利を持つ人です。
家族信託

2. 仕組みのポイント:名義と権利の分離

家族信託が画期的なのは、財産の「名義(管理処分権)」と「権利(経済的価値)」を切り離せる点です。
・名義は「受託者(子)」へ移る:
◦ 不動産の場合、登記簿上の所有者名義は「委託者(親)」から「受託者(子)」に変更されます(信託登記)。
◦ これにより、親が認知症で判断能力を失っても、名義人である子が単独で不動産の売却や修繕契約、預金の管理を行うことができます(資産凍結の回避)。
• 権利は「受益者(親)」に残る:
◦ 名義が変わっても、その財産から得られる利益(家賃や売却代金)は、すべて受益者である親のものとなります。
◦ 実質的な価値は親に残ったままなので、信託を始めた時点では贈与税はかかりません(※自益信託の場合)。
3. 信託できる財産(信託財産)
委託者の財産のうち、信託契約で定めた特定の財産だけが「信託財産」となります。
• 金銭: 受託者が管理する「信託専用の口座(信託口口座など)」に移して管理します。
• 不動産: 自宅やアパートなど。登記手続きによって信託財産とします。
• 自社株式: 経営権(議決権)を受託者(後継者)に移し、配当などの経済的利益は委託者(オーナー)が受け取るといった設計も可能です。
※年金受給権など、一身専属的な権利は信託できません。

家族信託が注目される理由
~「遺言」や「成年後見」では埋められない隙間を埋める、新しい財産管理の切り札~

超高齢社会を迎えた日本において、認知症患者の増加とともに「資産の凍結」が社会問題となっています。 これまでの法律(成年後見制度や遺言)だけでは解決が難しかった、「親の生前の財産管理」と「柔軟な資産承継」を同時に実現できる手段として、家族信託が急速に普及しています。

1. 認知症による「資産凍結」を回避できるから
これが家族信託が選ばれる最大の理由です。預貯金や不動産の所有者が認知症になり判断能力を喪失すると、法律上、契約行為ができなくなります。
•預貯金:口座が凍結され、生活費や医療費であっても家族が自由に引き出せなくなります。
•不動産:売買契約や賃貸契約、大規模修繕の契約ができなくなります。介護施設への入居費用を捻出するために自宅を売りたくても、売れなくなってしまいます(塩漬け状態)。
元気なうちに家族信託契約を結んでおけば、財産の管理権限を受託者(子など)に移すことができるため、親が認知症になっても、受託者の判断で預金の引き出しや不動産の売却が可能となり、資産凍結を回避できます。

2. 成年後見制度よりも柔軟な管理・運用が可能だから
認知症になった後の対策として「成年後見制度」がありますが、この制度はあくまで「本人の財産を守る(減らさない)」ことが目的であり、制約が多く存在します。
•積極的な活用の制限:アパートの建築や組み換え、生前贈与などの相続税対策は、本人の財産を減らすリスクがあるため、成年後見人では原則として行えません。
•自宅売却のハードル:自宅を売却するには家庭裁判所の許可が必要となり、必ずしも認められるとは限りません。
• コストと親族の負担:専門家(弁護士や司法書士等)が後見人に選ばれると、亡くなるまで継続的に報酬が発生します。また、親族が後見人になっても、裁判所への定期的な報告義務など事務負担が重くなります。
家族信託であれば、裁判所の監督下には置かれず、家族内での取り決め(信託契約)に従って、アパート経営の継続や相続対策、柔軟な財産処分が可能になります。

3. 「遺言」の機能に加え、「次の次」まで承継先を指定できるから
遺言書は「自分の死後」に誰に財産を渡すかを決めるものですが、以下のような限界があります。
•生前の対策ができない:遺言は死亡して初めて効力を持ちます。生前に認知症になった場合の財産管理には役に立ちません。
•「次の次」を指定できない:遺言では「妻に相続させる」ことはできても、「妻が亡くなった後は長男へ」というように、その次の承継先まで拘束することはできません(遺言による連続指定は無効)。
家族信託(受益者連続型信託)を活用すれば、自分が亡くなった後は配偶者へ、配偶者が亡くなった後は特定の子へ、といったように、数世代先にわたる資産の承継ルートをあらかじめ決めておくことが可能です。これにより、先祖代々の土地を守りたい場合や、再婚家庭での資産承継トラブルを防ぐことができます。

家族信託導入の流れ 

家族信託は、ご家族ごとの事情に合わせた完全オーダーメイドの仕組みです。 当事務所では、法務・税務の専門家と連携し、設計から契約後の運用サポートまでワンストップで支援いたします。

よくある質問

料金表

相続対策

相続対策とは?
~「節税」だけではありません。「円満な承継」と「安心」のために~          

「相続対策」と聞くと、多くの人が「相続税を安くすること(節税)」を思い浮かべるかもしれません。しかし、専門家の視点から見ると、節税は対策の一部に過ぎません。
真の相続対策とは、
①争族(相続争い)の防止、
②納税資金の確保、
③節税対策の3つをバランスよく行うことです。
当事務所では、お客様の財産状況やご家族への想いを踏まえ、これら3つの柱に基づいた最適なプランをご提案します。

相続対策は、法律(民法)、税金(税法)、不動産実務が絡み合う複雑な分野です。当事務所では、司法書士・行政書士として遺言・家族信託・不動産登記の専門知識を提供するだけでなく、提携する税理士やファイナンシャルプランナー等の専門家とチームを組み、法務と税務の両面から最善の解決策をワンストップでサポートいたします。

1. 「争族」防止対策
~「うちは仲が良いから大丈夫」が一番の落とし穴。家族の絆を守るための具体的戦略~

相続争い(争族)は、資産家だけの問題ではありません。裁判所での調停事件の約77%は遺産総額5000万円以下の家庭で起きており、その主な原因は「分けられない財産(不動産)」と「感情の対立」です。 当事務所では、以下の4つの視点から、揉めないための防波堤を築きます

① 「不動産」の分割対策(共有の回避)
相続トラブルの最大の元凶は、自宅などの不動産です。「とりあえず兄弟で共有名義にする」ことは、将来の売却や活用の際に全員の同意が必要となり、事実上の「塩漬け(負動産)」や、次の世代(従兄弟同士)での争いを招くため、絶対に避けるべきです。
•代償分割の準備:不動産を継ぐ人(例:長男)が、他の兄弟に代償金(ハンコ代)を支払えるよう、生命保険等を活用して現金を準備します。
•換価分割の検討:空き家になる予定の実家などは、相続発生後に売却して現金を分ける「換価分割」を遺言で指定しておくことで、公平感を保ちます。

「遺留分」への資金的手当てと心のケア
「長男に全財産を」といった極端な遺言は、他の相続人(兄弟姉妹を除く)の最低限の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」を侵害し、泥沼の紛争(遺留分侵害額請求)を招きます。
•生命保険の活用:死亡保険金は原則として遺産分割の対象外であり、受取人固有の財産となります。これを遺留分を請求されそうな相続人(後継者など)に受け取らせることで、遺留分を支払うための原資(代償金)を確保できます。
•付言事項(ふげんじこう)の活用:遺言書に、なぜそのような配分にしたのかという理由や、家族への感謝、兄弟仲良くしてほしいという願い(付言)を記すことで、遺留分請求を思いとどまらせる精神的な効果が期待できます。

③ 生前の「財産開示」とコミュニケーション
「親がどれだけ財産を持っているかわからない」という疑心暗鬼が、死後の争いを生みます。
•財産目録の作成と開示:プラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産も含めた一覧表を作成し、元気なうちに推定相続人に開示することをお勧めします。これにより、相続人の過度な期待や、「隠しているのではないか」という不信感を防げます。
•家族会議の実施:介護を誰が担い、その費用をどう負担するかなど、生前の役割分担と死後の配分について、親子・兄弟で話し合う機会を持つことが、最も効果的な予防策です。

④ 複雑な家族関係への対応(家族信託など)
以下のようなケースは特に揉めやすいため、遺言だけでなく「家族信託」の活用も検討します。
•子供のいないご夫婦:夫が亡くなると、妻と「夫の兄弟姉妹」が相続人となり、疎遠な親族と遺産分割協議が必要になります。全財産を配偶者に渡す遺言や信託が不可欠です。
•再婚家庭・前妻(夫)の子がいる場合:親族感情が複雑になりがちです。遺言で配分を指定するほか、信託を活用して「妻に財産を使わせた後は、妻の親族ではなく、自分の血縁(前妻との子)に戻す」といった設計(受益者連続型信託)も有効です。

2. 納税資金対策
~「遺産はあるのに税金が払えない」を防ぐ。現金一括納付への備え~                   

相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に、原則として「現金一括」で納付しなければなりません。不動産などの「換金しにくい財産」の割合が高い場合、遺産総額はあっても手元の現金が足りず、納税できない事態(黒字倒産のような状態)に陥るリスクがあります。また、相続人の一人が納税できない場合、他の相続人が連帯して納付義務を負う「連帯納付責任」という厳しいルールもあるため、家族全員の資金計画が重要です。

① 生命保険の活用(最強の資金準備)
生命保険は、納税資金対策の切り札と言えます。
•速やかな現金化:銀行預金は名義人の死亡を知った時点で口座が凍結され、遺産分割協議が整うまで引き出しが制限されます。一方、生命保険金は受取人単独で請求でき、書類が揃えば原則1週間程度で現金を受け取れるため、当面の費用や納税資金に即座に充当できます。
•非課税枠の活用:死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があり、現金のまま持っているよりも相続税を圧縮しつつ、手取りの現金を多く残せます。
• 代償金の原資:不動産を継ぐ相続人が保険金を受け取るようにしておけば、他の相続人に支払う「代償金(ハンコ代)」の原資としても活用できます。

不動産の売却(換価分割・納税充当)
預貯金で納税できない場合、相続した不動産を売却して現金化する必要があります。
•換価分割(かんかぶんかつ):遺産である不動産を売却し、その代金を相続人で分ける方法です。納税資金を確保しつつ、公平な分割が可能です。
•売却のタイミングと特例(取得費加算):相続税の申告期限から3年以内に相続財産を売却した場合、支払った相続税の一部を「経費(取得費)」に加算して、譲渡所得税(売却益への税金)を安くできる「取得費加算の特例」があります。納税のために売却せざるを得ない場合は、この特例を活用して手元資金を最大化します。
•空き家の3000万円控除:相続した実家が空き家になる場合、一定の要件(耐震リフォームや更地化など)を満たして売却すれば、譲渡所得から3000万円を控除できる特例も使えます。

納税資金対策は、「相続税がいくらかかるか」の試算(シミュレーション)から始まります。現状の資産構成で納税が可能か、どの不動産を売却すべきか、生命保険でいくらカバーすべきか、早めに専門家と連携して計画を立てることが「家」を守ることにつながります。

3. 節税対策
~「評価」を下げ、「量」を減らし、「控除」を増やす。3つの視点で資産を守る~   

納税資金や遺産分割の目処が立った後は、手元に残る資産を最大化するための節税対策を検討します。ただし、過度な節税は税務調査のリスクを高めたり、キャッシュフロー(手元資金)を悪化させたりする恐れがあるため、バランスが重要です。

① 不動産の活用(財産の「評価」を下げる)
現金は額面通り(1億円=1億円)で評価されますが、不動産は時価よりも低い「路線価」や「固定資産税評価額」で評価されるため、現金を不動産に換えることで相続税評価額を圧縮できます。
•小規模宅地等の特例:亡くなった方のご自宅の敷地(特定居住用宅地等)について、配偶者や同居親族などが相続する場合、330㎡まで評価額を80%減額できる特例です。例えば、1億円の土地でも、この特例が適用されれば2000万円の評価となり、相続税への影響は甚大です。適用要件(同居要件や所有要件など)が細かいため、専門家による事前のチェックが不可欠です。
•賃貸物件の建築(貸家建付地):更地にアパートやマンションを建てて人に貸すと、その土地は「貸家建付地」となり、自用地(更地)に比べて評価額が約2割程度下がります。また、建物自体の評価も建築費(時価)の約6~7割(固定資産税評価額)となるため、借入金で建築することで「借入金(マイナス財産)>建物評価額(プラス財産)」という差額を作り出し、全体の相続税を圧縮する効果があります。

② 生前贈与の活用(財産の「量」を減らす)
生前に財産を次世代へ移転し、相続時の財産を減らします。近年の税制改正によりルールが大きく変わっています。
•暦年贈与(れきねんぞうよ):受贈者(もらう人)1人につき年間110万円までは非課税です。長い時間をかけて多くの人に贈与することで大きな効果があります。ただし、適切な方法を取らなかったことで「定期贈与」と判定されたり、近年の税制改正により、相続開始前7年以内(以前は3年以内)に行われた贈与は、相続財産に持ち戻して計算されることになりました(2024年以降段階的に延長)。早めの対策開始がより重要になります。
•相続時精算課税制度:60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2500万円まで贈与税がかからない制度です(相続時にまとめて精算します)。なお、2024年1月より、この制度を使っても年間110万円の基礎控除が別途設けられました。この基礎控除分は相続財産への持ち戻しも不要となるため、使い勝手が向上しています。
•目的別の一括贈与(特例):「住宅取得等資金の贈与税の非課税特例」「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」「教育資金の一括贈与の特例」「夫婦間の居住用不動産の贈与(おしどり贈与)の特例」などがあります。

法定相続人を増やす(「基礎控除」を増やす)
相続税の基礎控除額(非課税枠)は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
•養子縁組の活用:孫やお嫁さんなどを養子にすることで、法定相続人の数を増やせます。これにより、基礎控除額が増えるだけでなく、超過累進税率の緩和(1人当たりの受取額が減るため税率が下がる)や、生命保険金の非課税枠の拡大などの効果があります。なお、相続税の計算上、法定相続人に含められる養子の数は、実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人までと制限されています。

④ その他の対策
• 生命保険の非課税枠:死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。現金を保険に変えておくだけで、評価額を下げることができます。
•不動産管理会社の設立:賃貸物件からの家賃収入(将来たまっていく現金)を、個人ではなく法人に移転し、役員報酬として家族に分散することで、親の財産増加を抑制しつつ、子世代へ所得を移転します。

基礎除外の図

4.事業承継(自社株対策)
~「経営権」と「財産」を確実にバトンタッチ。会社の存続と家族の円満を守るために~

中小企業のオーナー社長にとって、事業承継は避けて通れない最大の経営課題です。事業承継は、単に社長の椅子(地位)を譲るだけではありません。会社の支配権そのものである「自社株式(議決権)」を誰に、どのように引き継ぐかが極めて重要です。当事務所では、まずは親族内承継(お子様などへの引継ぎ)を第一に検討し、難しい場合は、従業員承継や第三者承継(M&A)を含めた幅広い選択肢から、社長の想いに寄り添った最適なプランをご提案します。

① 最大のリスク「自社株の分散」と「塩漬け(認知症問題)」への対策
お子様などの親族に会社を継がせる場合、法的な対策を怠ると会社の存続に関わる重大なリスクが生じます。
•自社株の分散リスク:何もしないまま相続が発生すると、自社株は法定相続分通りに妻や子供たちに分散してしまいます(準共有状態)。株式が分散すると、株主総会での重要事項の決議ができなくなり、経営が不安定になります。
•塩漬けのリスク(認知症問題):オーナー社長が認知症になり判断能力を喪失すると、議決権の行使ができなくなります。これにより、後継者の選任や定款変更などの重要決定ができず、会社が「塩漬け」状態になる恐れがあります。

② 家族信託の活用(認知症対策・議決権集約)
近年、事業承継の切り札として注目されているのが「家族信託」です。
•議決権と財産権の分離:株式を信託することで、「議決権(経営権)」は後継者(受託者)に移しつつ、「配当を受ける権利(財産権)」はオーナー(受益者)に残すといった設計が可能です。
•認知症対策:信託契約を結んでおけば、オーナーが認知症になっても受託者(後継者など)が議決権を行使できるため、経営の空白(塩漬け)を完全に防ぐことができます。
•後継ぎ遺贈:「自分が死んだら妻へ、妻が死んだら後継者である長男へ」というように、株式の承継ルートを数世代先まで指定し、株式の散逸を防ぐことができます。

③ 親族内承継のその他の対策
•遺留分対策(争族の防止):自社株を後継者一人に集中させると、他の相続人の「遺留分(最低限の取り分)」を侵害し、後継者が多額の金銭(遺留分侵害額)を請求される恐れがあります。遺留分を無視した承継は、将来の紛争の火種になります。生命保険を活用した代償金の準備や、他の財産とのバランス調整など、遺留分に配慮した設計が不可欠です。
•種類株式:後継者には「普通株式(議決権あり)」、経営に関与しない相続人には「無議決権株式(配当優先など)」を発行するなど、株式の種類を変えることで、経済的利益を分配しつつ経営権を後継者に集中させることが可能です。
•遺言書の作成:少なくとも「自社株はすべて後継者に相続させる」という遺言書を作成しておくことは、株式の分散を防ぐための最低限のマナーであり、必須の対策です。

④【その他の選択肢】従業員承継・第三者承継(M&A)
親族内に後継者がいない場合でも、廃業(清算)を選択する前に、以下の道を検討します。
国が設置する公的相談窓口である「広島県事業承継・引継ぎ支援センター」と連携して、総合的な支援を行うことも可能です。
•従業員承継:意欲ある役員や従業員に会社を譲ります。業務に精通しているためスムーズな承継が期待できますが、株式取得資金の調達が課題となることが多いため、早めの準備が必要です。
•第三者承継(M&A):株式や事業を第三者に譲渡します。長年培ってきた技術やノウハウ、暖簾(のれん)を次世代に残し、従業員の雇用を守ることができます。また、創業者利益を確保し、ゆとりある引退生活の原資にできる可能性もあります。

相続対策の流れ

相続対策は、一夜にして成るものではありません。正しい順序で進めなければ、「節税にはなったが、家族の仲が悪くなった」「対策をしすぎて老後の生活資金がなくなった」といった本末転倒な結果を招きかねません。 当事務所では、以下のステップで、お客様ごとの最適解を導き出します。

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